Mickron Planning

Mick Kamiharaによるこんなこと出来たら面白いなあ

思考の整理学

少し前に”めざましテレビ”で紹介されていた大学生に売れている本ということで、読んでみました。
本屋に行っても古い本なのに平積みでよく売れている雰囲気です

思考の整理学 (ちくま文庫)

気になること、考えるべきこと、覚えておくべきこと、いろいろ頭を使っていて整理しなければ成らないことが多いですが、そんなたくさんのことの考え方を整理してくれる、なるほどと思わせて実践しようと思わせてくれる素晴らしい本です。

アイディアが浮かんだとき、例えばトイレや布団の中で考えたことや、あ、自分の場合風呂ですが、そんなときに思いついたことを書いて、そして寝かせて(熟成させて)、しばらくしてからまた見直してみたり、時には捨てることの重要さが書かれています。
どんなアイディアも思いついたときは新鮮で、それが最高と思えるけどしばらくたってみたら実はたいしたことがないとか、もっと別の見方ができるんじゃないとかしますよね。そんなときのために書いておくこと、あとで見直しできるような仕組みにしておくことが大事だなあと。
そして捨てること、人はたくさんの物事を覚えておくことが得意じゃないので、適度に捨てて頭をすっきりさせて今取り組むべきことに集中できるようにすることも必要ですね。

そのためのノートの仕組みも作者の方法が紹介されています。
当時はパソコンを活用なんて時代じゃあないですが、それでも数冊のノートを工夫して使う部分、その書き方は現代でも十分使える方法だなあと思います。
今の時代ならEvernoteをはじめ、たくさんの道具がありますね。でも紙のノートもそれはそれで使いやすいと思います。

もう20年以上も前に書かれた本ですが、すでにコンピューターの時代が来ることを予見して書かれており、かつて工場に機械が入って労働者を追い出したように、コンピューターが事務員を事務所から追い出すことを説いています。今ではコンピューターが得意な大量の情報の記憶や、単純な計算の繰り返しといった作業はすっかり置き換わってしまい、そのために必要としていた労働力は追い出されてしまいました。もしかしたらまだ残っていて余剰人員として会社の固定費を押し上げて苦しんでいるのかもしれません。

つまり、労働者はものを作る工場からも、事務所からも追い出されてしまって、残っていくのはパソコンにできない創造という作業だけになりますね。
だから今学校で教えている詰め込み教育、ものをたくさん覚えていてテストの時にそれを思い出して紙に書けるチカラがあるほうがすごい、というやり方では意味がないと。詰め込んだものを覚えていて必要なときに引き出すならパソコンでできるもんねえ。例えば数学の微分積分もその存在意義を知っていて初めて意味があり、ただ計算式に数字を入れて解を出せるだけでは将来応用が利かないなあとか、思っていたことをずばりと書かれています。
だから学校の成績が良いだけで知的生産性が高いとは言えないし、当然基礎は子供のうちからしっかりやるんだけど、その上で自分で考えて整理できるようなチカラを養うことが大事だなあと思いました。

知的工場として人の脳を生かすこと、創造することもすごいけどたとえばいったん忘れてしまうことだって人の頭には大事なことで、それこそがパソコンにはできない作業のステップですよね。いったん忘れてしまうことは学校的には悪ですが、仕事中にはよくあることです。考えて悩んで行き詰まったら「これはいったん忘れてこっちを見てみよう」なんてことはよくあります。着眼点を変えてみたり、他のテーマをみたりしてから戻ると、意外と新鮮な見方ができるから脳みそは不思議なものです。

引っ張ってもらってはじめて飛び立てるグライダーではなく、自力で空を飛べる飛行機人間が必要だと。創造を形にしたり、伝えたりするチカラがある、それがこれからの世の中で求められるものじゃあないかなと、自分も薄々感じていました。

さて、うちのチビにどうやって伝えていこうかなあこれ。
これなに?って聞かれたらすぐに答えるのではなくて、まず一緒に考えてみよう、から始めるべきかな?